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青い目が欲しい

 嫌悪感、罪悪感、憐憫、愛が一続きになった感情。人間の本性を捉えている。

−やさしい気持ちからの強姦、妊娠、発狂
この流れが凄まじい

 

 

 

 
 

黒人女性作家のトニ・モリスンの『青い目が欲しい』彼女はこのデビュー作でノーベル賞を取りました。

黒人の女の子が小さい頃に可愛い可愛いといって愛でるお人形が、白人をモデルにしたお人形なことにまず違和感を持つ。これが、「美」というもの?この白い肌、細い手足、くりくりのブルーの目が可愛いもの?生まれつき肌の色が黒い黒人にとってそのお人形を愛でるとはどういうことなのか。それに対してどう感じるか。もちろん感じ方は人それぞれだけれど…

この作品には同じ黒人でも、美の観念の刷り込みに対して違和感を感じるクローディアと、植え付けられたものをそのまま"それがいいものなんだ"と信じて青い目が欲しいと発狂するペコーラとの対比がある。

美という観念に正解はないのでいくらでも刷り込める。これが、美です。これが、正解です。ほら輪郭を削りましょう鼻を高くしましょう美白にしましょう美黒にしましょう、日サロで肌を焼いてくださいギャルが流行ってますやっぱり白くしましょう白ギャルの時代ですいや韓国アイドルの時代です痩せましょう。

なんで贅肉付けてるんですか?穴が空いた服着てくださいよ!骨が出てないと美しくありません骨なんかでてたらみすぼらしいでしょ筋肉がないとだめです筋トレしましょう女子も腹筋を割る時代ですそしてその写真をインスタにあげましょう映えます映えのために見栄を張ってくださいいいねが欲しいでしょう。

お人形遊びしてたはずが、お人形になっていたのは女の子側でしたみたいな。

ほらほら犬のようにドーパミンというエサ目掛けて走ってくださいほらペチペチ

わりとこんな感じ🐕

でも結局ブスデブバカが揃うと生きるの地獄だから容姿ってほっといていいもんでもないんだよな。刷り込まれた美の概念VS生き辛さ。

醜すぎてもしんどいけど、美しすぎてもアンドレセンみたいなことになる可能性があるのでリスクだから、きっと中の中くらいが一番平和なのに、中の中は自分に満足できないので優れた人に憧れ、羨み、呪いますね。長い人生において平凡はあまりに退屈で満足できないのでしょう。結局どこのポジションでも不満は付き物だ。


そう思うと全てが茶番に思えてくる。なにもかもが表層的で、心に響くもんなんかない。こんなものに満足できてる人ってどれくらいいるのか知らないけど私は空っぽすぎて何も感じれなくて虚しくて仕方ないから、こうしてワイルドを何度も読んでいる。